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報告|ガリ版ツアー 2008/2/22

報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_3291874.jpg▶概要
この日訪れたガリ版伝承館は、JR近江八幡駅からバスで25分ほどの蒲生岡本町にあります。
明治27年にガリ版(=鉄筆謄写版)を発明した堀井新治郎の旧宅を改修して、1998年にガリ版の器材保存と普及の施設として開設されました。
バス停を降りると、立派な洋館が目に飛び込んできます。
訪れたのは、水口菜津子、廣有利佳、井上明彦の三人。ツアーの目的は、ここでガリ版を体験学習して、今後の「大枝新聞」充実をはかること。もちろんほかにもいいアイデアや風物に出会えます。何よりいいお天気でハイキング気分。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_16261740.jpg入口は洋館のうしろのお屋敷側。
がり版伝承館は現在は蒲生の教育委員会の管轄で、開館は土日のみ。この日は休館日でしたが、事前に連絡して開けていただきました。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_3295322.jpgわれわれを迎えてくれたのは、蒲生教育分室長の田中浩さん。一般公開されている母屋と洋館の展示室だけでなく、敷地内にある土蔵も次々と案内してくださいました。
写真は母屋の裏の一番大きな土蔵。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_330397.jpgホリイ製の元祖ガリ版器材だけでなく、各地から集まった器材も保管展示されています。
ガリ版は、堀井新治郎が1893年のシカゴ万博で見たエジソンのミメオグラフが原型。ロウを塗った原紙に鉄筆を走らせてインクが出る穴を開ける孔版の一種です。ゼロックスの普及によって衰退する1970年代までは、日本の印刷文化の担い手でした。いわば手動DTP(デスクトップ・パブリッシング)。くわしくは→
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_331832.jpg蔵の中にはたくさんの印刷見本帳が保管されています。図柄には大正ロマンの香りが漂うものもあります。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_3315896.jpg憩っているのではありません。ここは伝承館の事務室。刷る作業は土間でするのですが、寒いのでガリ切りには事務室を提供してくださいました。ほっこりしてしまいます。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_3321148.jpg準備もなしに3人で相談しながら即興でつくったのは、「みどりの停留所お知らせ新聞」。廣がガリ版刷りに初挑戦、ベテラン(?)の水口がフォロー。
なんと100円で使い放題。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_3322318.jpg3人でそれぞれ版をつくり、3版刷りをめざしましたが、力を入れすぎて、原紙に穴を空けてしまいました。そう、家の部分が穴になっています。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_333874.jpg堀井家はもと近江商人で、70年以上にわたって謄写版で一世を風靡しました。広大な敷地内に8つの蔵が点在します。
蔵はどれもかたちがちがい、パヴィリヨンのようです。まわりには、湖東ののびのびした田園風景が広がっています。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_3333584.jpgここをアーティスト・イン・レジデンスにしたら面白いでしょうね、と言うと、田中さんはそのつもりだったと言います。ある蔵はカフェにして、別の蔵は展示室に、母屋で寝泊まりしながら制作する・・・開館当初はそんな計画もあったとか。
たしかにレジデンス向き。静かな環境で地元の人は暖かい。「ガリ版芸術村」の構想もあり、創作する人間にたくさん来てほしいそうです。偶然にもこの春から全国のガリ版ネットワークの新拠点として、器材収集と保管・普及をさらに進めると聞きました。
縁がありそうです。
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_337362.jpg蔵の中には、一部傷んでいるものもありますが、それがまたいい風景になっています。
暖かくなったら、ここを「みどりの停留所」のひとつとして、ガリ版の創作合宿を行いたいと思います。
ありがたいことにガリ版芸術村の岡田文伸さんが、家に泊まってくれていいと誘ってくださいました。(おまけに岡田さんからは手製の黒豆納豆もいただきました。)
報告|ガリ版ツアー 2008/2/22_b0072947_3341928.jpg蔵の中でみつけた子供用の椅子付き机に座ってみます。机の上にあるのは、ホリイ株式会社製の「マイプリンタ」。蔵の中に大量に眠っていたハガキサイズの印刷機で、なんとあの理想科学のプリントゴッコに先立つ家庭用謄写版。伝承館の田中さんは、われわれに三つも無料で貸し出してくれました。
椅子と机とマイプリンタを合わせれば、大枝の風景のなかでガリ版をつくる「ガリ版停留所」ができそうです。
パソコンでの高速DTPとはちがう、ガリ版のゆったりしたテンポで、大枝の風景はどうとらえられるでしょうか。

結局この日は、朝から夕方までずーっとガリ版伝承館にいたのでした。
by oeap | 2006-01-03 02:22 | 活動報告


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